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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第24章 謙信の祈り


結果が出る前に諦めるのを良しとしないが、今回ばかりは自然が相手だ。

戦場ならば己の力を最大限に使って勝機をあげるがワームホールはそうもいかない。


1%の数値をあげられる術がない……。
ただただ開いてくれと祈るしかない。


片目から涙がこぼれたが、そのままにした。
どうせここには誰も来ない。

時折訪ねてきた信玄も、病に飲み込まれようとしている。


俺も遠くない先に死ぬだろう。


病ではなくとも、心が死ねば身体も死ぬのだと知った。

始終握り締めている舞からもらったお守りを見つめる。


謙信「……」


最期の瞬間まで舞を想おう。

死した後、500年後に行けるだろうか、それともそのまま無へと帰すのだろうか。


(想うことさえできなくなるのか……)


ゾッとするような絶望の中で祈った。


謙信「あと幾ばくもない命だが、月よ、風よ…舞に届けてくれ。
 愛している、この命尽きるまでと」


ざあ、と木の葉を騒めかせて風が吹き、朗らかな舞の声がしたような気がした。


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