第23章 1%を100%に
佐助「この間、一日だけワームホール発生率が10%に跳ね上がったんだ。
それがずっと引っかかってて…考えてみたらその日は500年後の暦では7月7日、つまり七夕だったんだ」
幸村「七夕ってあれだろ?一年に一度織姫と彦星がってやつ」
佐助「そうだ。500年後は短冊に願いを書いて笹に飾るんだ。
仮定だけど舞さんが七夕の日『謙信様に会えますように』って願ったのかもしれない」
(七夕の時は何も知らずに願った。なら故意に毎日願ったとしたら…)
(1%が99%になるかもしれない)
やっと希望が見えた。
幸村「あいつに不思議な力があったせいで発生確率が上がったってことか。
わかった、すぐに石碑を造らせる。
でもこのまんまじゃ佐助から舞への伝言だってわかんねぇだろ。なんとかなんねぇかな」
それは俺も悩んでいたところだった。
『佐助』という名を出すわけにはいかないし、確実に舞さんに俺からのメッセージだと気づいてもらえる方法が思いつかない。
佐助「……」
幸村「なあ、あいつは俺達がその…友達だって知ってるんだよな」
少し照れ臭そうな表情で幸村が言う。
佐助「ああ、もちろん。俺と幸村は『ズッ友』だって言ってある」
幸村「恥ずかしげもなくそういうこと言いやがって……。
まぁ、いいや。そんで500年後に俺の名は残ってるか?」
佐助「もちろんだ。性別問わず大人気だ」
幸村は素っ気なく返事をすると文机にむかい新しい紙に何か書いている。
幸村「こんなのはどうだ?」
ほら、と渡された文面に俺は口の端が持ち上がるのを感じた。
佐助「これなら舞さんに絶対気づいてもらえる。
俺にとっても身に余る光栄だ。ありがとう、幸村」
幸村が書いてくれた文面はこうだった。
~生涯の友の依頼により、これを作成する。天女へ届くことを願う~ 真田幸村