第23章 1%を100%に
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幸村「で?佐助の至急のお願いってなんだよ」
ほどなくして俺の部屋に来てくれた幸村は、俺の前に座ると単刀直入に聞いてきた。
佐助「ワームホールを故意に発生させる方法があるかもしれない。
そのためには500年後に居る舞さんの協力が必要なんだ」
俺と舞さんが戦国時代に飛ばされた際のワームホールについて調べたところ、発生確率が急激に上昇したこと。
理由はわからないけれど舞さんはワームホールの発生確率を上げる力を持つかもしれないことなど、簡単に説明した。
幸村は眉間に皺を寄せた。
幸村「だいたい事情はわかったけど、どうやって500年後にいるやつに協力を求めるんだよ」
おれは懐から一枚の紙を出して幸村に渡した。
佐助「この紙に書いてある内容を石碑に掘って厳重に保護して上田城の敷地内に埋めて欲しいんだ。
それが500年先で発掘されれば舞さんへの伝言になる。
多少事実と異なっているけど彼女なら必ず気がついてくれるはずだ」
幸村は渡した紙の内容を読み、難しい顔をした。
幸村「別にそのくらい良いけどよ。本当にこれで舞に伝わるのか?
もっと分かりやすくした方が良いんじゃねえのか?これじゃ、ただのお伽話だろ」
佐助「500年後と言えどもタイムスリップ…時を駆けるなんていう現象は皆無なんだ。わかりやすく書いてそれが明るみに出たら大騒ぎになる。
しかも謙信様は500年後でも超がつくほど有名な武将だ。タイムリップした人間と謙信様が関りを持ったというのは隠した方が良い。
この石碑は舞さん以外の人にとっては『ただのお伽話』になるようにしたい」
幸村「よくわかんねーけど、この石碑の件はわかったよ。
それで結局、神頼みなのか…?」
俺が作ったお伽話を読んで幸村がため息をついた。
佐助「ワームホールが自然発生しないのなら、場所、時間は関係なく、舞さんに強く願ってもらうくらいしか方法が思いつかないんだ。
一か八かの賭けになる」
舞さんにどんな能力があるのか全くの未知数。
見当違いの賭けに出ようとしているのかもしれないけれど、今すぐできる事があるならやっておきたい。