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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第20章 上田城の石碑


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月に祈る日々を続けてみたけれど、特に何も変わらず毎日が過ぎて行った。

石碑が見つかったとニュースが流れて数日後、あのお寺から荷物が届いた。

段ボール箱の中には丁寧に畳まれた着物類。
私が謙信様の無事を願って縫い、お寺に納めたものだった。

同封されていた住職の手紙を読むと、上田城の石碑が見つかったことで池にあった龍と兎に注目が集まったという話だった。

そして改めてお寺の内部にも調査が入る事になり、この着物を一旦私の元へ返すと書かれていた。

着物類には上杉の家紋が必ず刺繍してあるため、万が一調査にあたった人達の目に触れれば、私に煩わしい思いをさせるだろうという理由だった。


『石碑の内容をご存じでしょうか?
 丹精込めて縫われたこのお召し物が、役立つ時が来ることを祈っております』


住職は石碑の内容を知り、私から聞いた話を紐づけて謙信様の向かった先がわかったのだろう。


「ふふ、ありがとうございます。謙信様がこれを着てくれる日がくると良いな」


着物類を箱から出して衣紋掛け、帯掛けなどにかけていく。
ずっとお寺に置いてもらっていたのでお線香の匂いが移っている。


「ここに掛けておくと、あの二人に悪戯されちゃうかなぁ」


リビングを出て、廊下を歩いて仏間を過ぎ、一番奥の部屋へ入る。
ここは亡くなった祖父母が使っていた部屋なので今は使っていない。

結構広いので三人寝ても余裕がある。
もし謙信様達が来たら使ってもらおうと、掃除をして布団や衣類を三人分用意しておいた。

謙信様から頂いた梅柄の反物で作った着物も飾ってあるので、その横にお寺からの着物を掛けた。

自分の着物の隣に並ぶ謙信様の着物。
それを見ていると会えるかもしれないという希望で胸が高鳴った。

和室を出たところでたつきとゆりに掴まった。


たつき「ママ!今日はスーパーにいくんでしょ!?
 その前に公園で遊びたいなぁ」

ゆり「ゆりも遊ぶー」

「はいはい、わかりました!準備して出かけよう」

「「やったー」」


さっきまで居た部屋を振り返った。


「謙信様、お待ちしています。早く来てください…ね?」

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