第18章 あなたとの約束
(姫目線)
ワームホールに捕らわれ、ぐにゃりと視界が歪んだ。
浮遊感に包まれ地に足がつかなくなった瞬間にあの時代との接点を永遠に失った。
もう会えない……
たった今お別れをしてきた安土の皆の顔が浮かんだ。
(皆、ありがとう。元気で)
さようなら、みんな
さようなら……………謙信様
「ふっ、うぅ……」
涙が止まらない。
涙を優しく拭ってくれた人はもう…いない。
戦になれば軍神と称されるくらい強いのにどこか脆そうで危うい人。
静かな佇まい、切れ長の瞳が和らぐ瞬間、面白い女だと笑った満面の笑み。
意外と料理ができちゃうところとか、絵が下手くそなところ、強引かと思うと私に触れる手がとても優しかったりするところ。
(全部好き、大好き…)
「謙信様、あなたを、あなたをっ…愛しています…っ」
謙信様に届くだろうかと、過去と未来の狭間で呟く
腕の温もりも
少しクセのある低い声も
私を魅了してやまない美しい眼差しも
もう二度と見ることも感じることもない
「謙信様……離れてもずっとあなただけを想っています
この先どんな日々を送ろうとも、あなたを忘れる日なんてこないでしょう
たとえあなたが私を忘れても……
誰よりもあなたを愛しています」
謙信様への愛を糧に私は生きていく。
そしてこの子は絶対守る。
(絶対死なない。不幸にもならない。約束します、謙信様)
約束を守ったことを知らせる方法はないけど、必ず……