第17章 姫の手紙
そのくらい眼光鋭く責められている。
佐助「俺の計算では次回発生する確率はほぼありません」
ダンっ、と床を蹴る音が聞こえた。
謙信様が刀の柄に手をやっている。
謙信「舞が居る500年後と、この世が繋がる道はもう無いというのか?」
謙信様の本気の抜刀を避けられるだろうかと額に汗がにじむ。
佐助「ええ、このことは舞さんには伝えてありました。今回開くワームホールを最後に、ほぼ99%の確率で次回は無いだろうと。
だからこの手紙…文は、今生の別れを伝えているんです」
幸村「99ぱーせんと?ってなんだよっ」
佐助「絶対発生しないというのが100%。
限りなく発生しない、ほぼ可能性がないというのが99%だ」
ひゅっと風切り音が聞こえ、さっきまで座っていた場所に謙信様の愛刀が美しい軌跡を描いた。
(空気が動いたのと同時に身を退けていて正解だった)
振り払った刀を目にも止まらぬ速さで突きつけながら、謙信様が言い放った。
戦場でそうであるように1ミリたりとも無駄のない動きだった。
「残り1%。開く可能性があるのだろう?
それを探れ!今すぐ!!」
こんなにも感情を乱した謙信様を見るのは初めてだった。
その場はなんとか信玄様と幸村がおさめてくれて、それ以降、俺は星の観測とそのデータに基づく計算を何度も試みることになった。
けれど、ワームホールの発生は絶望的な数値を示した。