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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第17章 姫の手紙


(第三者目線)


『安土の姫が城を去った』という知らせが越後に届いたのは、舞が旅立って5日後のことだった。

謙信は大広間で、安土に向かわせる使者に婚姻申し込みの文を預けているところだった。



『ついにお館様が正室をとられる』



広間に集められた家臣達が固唾を飲んで見守る中、廊下を駆けてくる音がして額に汗を浮かべた家臣が現れた。


家臣1「お館様、急ぎの知らせにございます」

謙信「騒々しいぞ、何があった」


家臣は謙信に許しを得ると傍により耳打ちした。


家臣1「安土の姫が城を去ったそうです」


謙信は目を大きく見開いた。みるみるうちに顔が青ざめていく。


謙信「使者を送るのを一時中止にする。
 その知らせを持ってきた者をここへ呼べっ!」

家臣1「はっ!」


血相を変えた謙信が人払いを命じ、集まっていた家臣達は『何事か?』という面持ちで広間を出ていく。
その様子を見ながら信玄と幸村が眉をひそめた。


幸村「いったいどうしたんっていうんですか、謙信様」

信玄「そうだぞ、あれほど姫を迎えに行くのに尽力していたお前が他に優先させるものがあるのか?」

謙信「黙れ。佐助!いるか!?」


信玄達の言葉を一蹴すると謙信は広間の天井に声をかけた。


佐助「お呼びですか、謙信様」


広間の天井板が一枚外れて佐助が姿を現すと謙信は刀を素早く抜いて突き付けた。


謙信「どういうことだ。舞が安土を去ったそうだ。
 何か知っているなら話せっ!」

佐助「いいえ、俺は何も。舞さんはどこに?」

謙信「詳しい話はこれからだ。たった今『安土の姫が城を去った』という知らせが入った」

佐助「……」


険しい顔の上司を見上げながら、佐助は日付を確認して『まさか』と眉をひそめた。


(現代へ帰らないと言っていたのに帰ったのか?謙信様と両想いになったのに、何故…)


それとも現代へ帰ったのではなく言葉通り城を出ただけで住まいを他の地に移したということだろうかと考える。

そうしているうちに襖のむこうに気配を感じた。


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