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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第16章 武将くまたん


最後に渡した巾着袋。

本当はあの子に似合う簪や着物を贈りたかったけれど、あからさまに好意を示すそれらの品々は選べなかった。
彼女の体を整える薬に紛らせるようにして、精いっぱいの気持ちを込めて巾着を選んだ。


(もっと気持ちを伝えていたら何か変わっただろうか)


ふとよぎった思いに胸がキュッと縮んだ。


三成「家康様…?」


隣に座っていた三成の声で我に返る。


家康「…なに」

三成「家康様が泣いているように見えたので。そんなことなかったですね、申し訳ありません」

家康「俺が泣くわけないでしょ。どうかしてる」


三成と反対側にフイと顔を向ける。


信長「のぶたんと兄弟みたい…か。ふっ」


鉄扇を優雅に揺らし、愉快そうに笑う信長の赤い瞳。
それはいつも冷たさを含んでいるのに今日は終始穏やかだ。


家康「言っておきますが、俺は信長様を兄のようだと思ったことは一度もありませんから」


文句を言う家康はツンとしていて、いつも通りだ。


秀吉「こら、家康。そう思われたなら名誉なことだろう。まったくお前は…」


ブツブツ言いながら秀吉は薄紫の包みに手を伸ばした。


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