• テキストサイズ

☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第2章 夜を忍ぶ


師走(12月)に入り、町も城もなんとなく気ぜわしい季節になった。

政宗と家康が安土を去り、賑やかさが減った城で私は相変わらずの生活をしていた。
今日は女中さんの仕事を手伝って、朝からフル稼働している。


女中頭「舞様、本当にありがとうございます。
 おやすみしている者が多くて、手が足りなくて困っていたんです」


廊下の雑巾がけを終え、一息ついた頃に女中頭の女性に頭を下げられた。


「私で良ければいつでもお手伝いさせてください。
 それよりお休みしている人が多い、というのは何かあったんですか?
 あ、もしかして早めのお正月休みですか?」


年末年始、時期をずらして長期休暇をとるのは現代でもよくあることだ。
そう思って聞くと、女中頭の女性は首を横に振った。


女中頭「いいえ。最近安土では高熱を出す流行り病が蔓延しつつあるんです。
 その病になると5~7日程高熱が続くそうで、看病にあたった者にもすぐうつってしまうそうなんです。
 この病にかかった場合と、家族に発症した者が居る場合、最低でも10日は城に上がるのを休むようにと信長様より命が下されました」

「そうなんですね。知らなかったです。私も城下に出るのを控えますね」


(高熱が続いて人にうつりやすいって、もしかしてインフルエンザかな)


師走に入ってから、秀吉さん達は忙しそうにしていてゆっくり会話もしていなかった。

女中さんのように定期的な連絡があるわけではないので、流行り病のことは全然知らなかった。
女中頭の女性は憂い顔で頷いた。


女中頭「そのようにされた方が良いかと。
 なんでも城下では熱を下げる薬が不足し、なかなか手に入らないとか」

「そんなに流行っているんですね。城下の人達も年末で忙しいでしょうし、大変ですね…」

女中頭「ええ、本当に困ったものです。年の暮れともなれば商人たちも休み、物流が停まってしまいます。
 薬草を運ぶ商人たちも同様でしょうから、ますます薬が手に入らなくなるかと。
 清々しい気持ちで新年を迎えたいものですが、今年は難しいかもしれませんね」

「……」


(まさか、流行り病が蔓延している安土に来てないよね)


早ければ年末に来ると言っていた。


褪せたような金髪と二色の瞳…整った顔立ちを思い出して胸がうずいた。


/ 1735ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp