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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第10章 看病七日目 逃避と告白


(もう少しあのままでいたかった)


身体の上に感じていた温もりと重みがなくなり、とても寂しかった。


謙信「お前の返事を聞いていない。
 それとも有無を言わさず手籠めにされ、身も心も奪いつくされるのを望むか?」


熱を孕んだままの目で囁かれる。

有無を言わさずなんて言っておきながら、そんなことは絶対にするつもりはないくせに。

胸が甘くくすぐられた。


(返事って、抱いてもいいかってこと?それとも…)


『俺の妻になってくれぬか』そう言われたのをすっかり失念していた。
溶け切っていた思考が目一杯の速さで冷静さを取り戻す。

謙信様が今求めている答えは求婚の返事のことだ。


(つま……妻………謙信様のお嫁さんになるの?私が…?)


色違いの瞳をじっと見返したまま考える。

結婚はまだまだ先のことと漠然と考えていた数か月前。

転職が決まり仕事に専念しようと気合を入れていた矢先のタイムスリップ。

そこで謙信様と出会い……


(人生って本当にわからないものなんだな)


時を越えて、偶然出会って、こんなにも好きになってしまった。

自分の心に正直でありたい。


目を瞑ると500年後の世界が思い浮かんで……消えた。


(もう帰らない。私はこの人と生きる)


決心して目を開けた。
嬉しいのとちょっとした喪失感で涙が浮かぶ。


「はい。至らぬことが本当に…たくさんある私で良ければ。

 謙信様のお嫁さんにしてください」
 

謙信様の腕に力がこもった。


謙信「案ずることはない。身一つで越後へ………

 俺の元に嫁いでこい」


少し張りつめた雰囲気だった謙信様は幸せそうに顔を崩した。


「はい!」


胸がいっぱいになり謙信様の首に手をまわして抱き着いた。

ちょっと苦しいくらいに謙信様が抱きしめ返してくれた。


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