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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第10章 看病七日目 逃避と告白


(姫目線)

カチャカチャと音をさせながら城に向かって歩く。


「はぁ、重い」


急ぎでなければ二日に分けて持ち帰りたい量だ。

重い足取りは荷物のせいだけじゃなく、長屋から離れたくないと思っているからだ。
俯いて歩いていると駆け寄ってくる草履の音がしてぽん、と肩を叩かれた。


「ひゃっ!?」

?「驚かせて申し訳ありません」


声がした方に顔をむけると三成君が立っていた。
家臣の方が数人ついているから、もしかしたら見回りをしていたのかもしれない。


三成「こんな大荷物でどうなさったんですか」


三成君が一番重たい荷物を持ってくれた。


「あ、これはお城から借りた食器類やお鍋。
 流行り病にかかっていた友達がすっかり良くなったから看病の必要がなくなったの」

三成「正月前に治って良かったですね。舞様も毎日よく頑張りました」


ふんわりと笑った三成君だけど、すぐに鋭い目で見つめてきた。
紫水晶の目に不信感が浮かんでいる。


三成「舞様、もしやと思いますが泣いたのですか?涙の跡がここに」


ヒンヤリと冷えた指が伸びてきて頬に触れた。


「あ……友達としばらく会えないから寂しくて泣いちゃっただけだよ」

三成「そ、う…ですか」


納得したのかしていないのか微妙な感じだったけど三成君はそれ以上追及してこなかった。


三成「それにしてもこの荷物は女性が持つには重すぎます。
 部下に頼んでお城に届けさせますので舞様は身軽になってください」


背中の荷物をちらりと見られ丁寧に断った。


「あ、これは大事な反物なの。これは私が運びたいから、その荷物だけお願いしてもいいかな。」

三成「ええ、わかりました」


三成君の後ろに控えていた人が荷物を受け取りお城の方へ歩いていく。


「ごめんね、見回り中だったのに余計なお仕事増やしちゃって」

三成「いいえ、気にしないで下さい。私共は市中見回りではなく、ある人物を探すよう言われて来たのです。見つけられなかったのでもう少しで引き上げるところです」

「年の瀬で混雑してるから人探しは大変だね。誰を探していたの?」


三成君の優しい表情がきりっと引き締まった。
戦に行く時の勇ましい武将の顔だ。


三成「『7日程前に上杉謙信を見た』という情報が入ってきたんです」


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