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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第8章 看病六日目 道ならぬ恋


国へ帰ると言っているが、その日までは佐助の女だ。
例え佐助と別れようと、国へ帰ってしまえば二度と会えぬ予感が拭えない。


(俺の入りこむ隙など一瞬たりともない)


謙信「お前の心の内が聞けて良かった……が、俺はやはり手は出さぬ。
 思い合っている二人を俺の勝手でかき混ぜる訳にはいかん。
 女も恋仲の男も知らぬ仲ではないゆえ、後々面倒になろう」


もう直ぐ国へ帰るお前を色恋沙汰に巻き込みたくない。
佐助と過ごす残り僅かな時を穏やかに過ごして欲しい。


何故唯一の女がお前だったのだろう。


人の女でなければ何のためらいもなく手を取るのに。
国へ帰るなと腕の中にとじ込めて引き留めるのに。


「恋した方はどんな人なのですか?」


何も知らない舞が聞いてきた、答えるふりをして愛らしい顔を眺める。


(お前のことだ。舞…俺はお前の全てが愛おしい)


自覚したところで叶わない恋に、胸が痛み、心に鮮やかな傷がついた。


謙信「何をしていても愛らしくてならない女だ。それ以上は言えぬ」


(このくらいなら言っても構わないだろう?お前はそこに居るだけで愛らしい)


「それ、わかります」


何故か切羽詰まった声で舞が言った。
追い詰められ、今の俺のように苦しみに耐えている顔だ。


「何をしていてもぜーんぶカッコイイ人が居るんです。
 息を吸っているだけでもかっこいいんです…もう、重症でしょう?」


(ああ、お前はそれ程に佐助を想っているのに国へ帰ろうとしているのか)


余程の事情があるのだろう。聞いても答えてくれないだろうが…


謙信「ああ、俺もお前も重症だな。お前にそう思われる男は果報者だ」

「ふふ、謙信様に想われる方も幸せ者ですね」


苦しそうに笑った顔は抱きしめたくなるくらい痛々しかったが、佐助とのことは俺には手出しができない領域だ。
無暗に手を出したら…箍が外れてしまう。


かつてないほど胸が締め付けられても打つ手はなく、俺は必死に耐えるしかなかった。


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