第88章 幸せを願う
今から蝦夷に調査団を送ったところで舞様を困らせるに違いない。
ならば知らぬふりをするのが自分なりの礼儀だ。
三成「ありがとうございます、舞様。
この着物を作ってくださったということは私が生きていると察してくれたのですね」
自室には『なりなり』と『じゃっく』、秀頼様が秀吉様に形見だと渡された『ひでたん』が三体並んで飾られている。
それを眺めながら三成は昔と変わらぬ笑みを浮かべた。
三成「無惨に散る命を心配し、お声をかけてくださいましたね。
そのおかげで生き永らえられたのです。
秀吉様の最期も、もしかしたらあなたによって導かれたものなのかもしれませんね。
舞様、『なりなり』のおかげでかけがえのない者達もできました」
隣室から『猫の頭におにぎりがのってるー』『どこどこ?』『まあ、なり様みたい』と賑やかな声が聞こえてくる。
(あなたという存在は私の中で永遠に消えることはないでしょう)
目を閉じれば可愛らしい笑顔をうかべる舞様がいる。
(いつまでもあなたは私の大事な人です)
三成「あなたに負けないくらい幸せになります。
どうぞお幸せに、舞様」