第87章 この命、尽きるまで
✿一気読み姫様はひと休み…していられない!?✿
謙信「何をしている?」
「っ」
謙信「どうした?早く行かねば間に合わなくなるぞ」
「……嫌です」
謙信「何がだ?」
「謙信様も『いつかまた』って言って、私を襖の向こうに追いやるのでしょう?
振り返ってもその襖は開かないのでしょう?」
謙信「何を言っている?寝ぼけているのか?」
「今まで皆そうやってお別れを言ってきたんです。
夢なのか現実なのか…謙信様が、越後の城主なのか、私の……旦那様なのか、よくわからないんです」
謙信「舞は夢現なのだな。だがいずれ目を覚ますだろう。
俺は舞の一部となり、舞は俺の一部となった。
夢であろうと、現実であろうとそれは変わらない。いつもお前の傍に居る」
「謙信様……」
謙信「時間だ。次の間はそこだ」
「っ、謙信様も、一緒に行きましょうっ」
謙信「もちろんだ」
「……え?」
謙信「何を鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしてる?
舞一人に行かせるわけがなかろう?」
「ぅ、謙信様……」
謙信「泣くほど嬉しいのか?随分と今日はしおらしいな」
「だって、皆が………」
謙信「安心しろ、俺も行く。それに…」
「?」
謙信「龍輝、結鈴、瑞穂」
龍輝・結鈴「「はい」」
瑞穂「はーい」
「ちょ、ちょっと随分大きくなってるよ。どうしたの?
龍輝と結鈴、さっきまで6歳くらいだったのに中学生くらい??赤ちゃんだった瑞穂がおっきくなってる!」
龍輝「子供は気が付けば大きくなってるものだよ、母さん」
「か、かあさん?!」
結鈴「行こう、光秀さん達が待ってる」
瑞穂「ママ、準備できた?」
謙信「信長達にどやされるのは癪に障る。皆で行くぞ」
「え!?」
しゃっ、ぱたん
?「っ、舞!」
襖を開けた先には…………?