第84章 結ぶ
その様子は安土に居た頃と変わらない。
家康が気まずそうに咳ばらいをして話し合いを続ける。
家康「三成、名を変えろ。俺に考えがある。
もし舞が…だとすれば………にすれば……伝わるかもしれない」
三成「!!それは良いお考えですねっ!」
家康「あと名目上は……にして、……しようと思うんだけど…」
三成「それでしたら……などいかがでしょうか?」
家康「そうだな。三成の意見を採用しよう。それで………」
綿密な計画がトントンと進んでいく様子を三の姫はじっと見守った。
対立の立場にあった二人が太平の世を築くために手をとった瞬間を、尊いと感じた。
(お二人を結び、支えていきたい…)
気持ち新たに見守ること数刻、やっと二人の打ち合わせが終わった。
日は傾き、ちらほら夜の虫が鳴き始めている。
(……三成様とお別れする時が迫っている…)
次はいつ会えるだろうか。
離れている間に三成に考え直されて縁談を断られるのではないかという不安がぬぐえない。
確かな約束も交わしていない、不安定な関係だ。
三の姫がそっと俯いた時……