第84章 結ぶ
三成「家康様がお許しくださるのなら、姫様に隣に座っていただきたいのですが。
話が終わってしまえば次にお会いできるのは先となります。今のうちによく見ておきたいと思うのですが駄目でしょうか」
姫「~~~~~三成様…」
心底惚れぬいている人から『よく見ておきたい』などと言われ、姫は真っ赤になりオロオロと三成と家康を交互にみつめる。
家康は面倒臭いというように手をひらひらさせた。
家康「ほら、三成が呼んでる。早く行け」
姫「は、はい」
着物の裾を綺麗にさばきながら歩き、三の姫が三成の隣に座った。
間近で見る姫は眩い輝きを放ち、熟せば傾国の美女となりえる美貌だった。
しかしその内面はとても一途で純粋だった。
(なんとお綺麗な方なのでしょう。見た目だけでなく内なる心まで美しいとは…本当に私にはもったいない)
見つめ返してくる翡翠の瞳があまりにも真っすぐで綺麗で、三成の心がうるさく騒ぎ出す。
(…っと、きちんと家康様とお話をしなければいけない時に駄目ですね)
三成「姫様は近くで見ると一段とお美しいですね。
退屈かもしれませんが、ここでお待ちください」
三成は心を鎮めて家康に向き直った。
三成「失礼いたしました。それでは家康様のお考えを聞かせてください」
家康「幕府にお前を引き入れる時なんだけど…しようと思っている」
三成「それでは……に根回しをしておいて、いずれ……」
家康「お前………それ、今考え付いたの?
えげつない」
三成「そうでしょうか、ふふ。
こうして家康様と策を練られるなんて久方ぶりです」
家康「戦のための戦略ならましだけど、今回はお前を引き入れるための戦略だ…なんだか気が萎えそうだ」
三成「家康様…やっぱりどこかお加減が悪いのでは」
家康「しいて言うならお前のせいだろうな。
ほら、どうでも良いから続き」