第78章 過去からの来訪者
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根気よく引き留めたけど家臣の方達の意志は固く、佐助君が四苦八苦して手に入れた船に乗って帰っていった。
「佐助君、あの人達はどうなるんだろう」
船影が小さくなるまで見送り、隣に立つ佐助君に聞いてみた。
答えはわかっているけど。
佐助「わからない。時のズレに気付いて、その事実をどう受け止めるか…」
「だよね…」
佐助君は小さく息を吐いた。
引き留めても諦めてくれず、ならば好きにさせてやれと信長様の一言で帰したけど、それで本当に良かったのかわからない。
佐助「なるべく舞さん以外はあの人達と接触しないようにしたから身元がバレるってことはないだろうけど…。
急に霧がでてきたね。帰ろう、舞さん」
船影は霧に阻まれて見えなくなり、私と佐助君は帰路へとついた。
その後海が大荒れになり、小さな船が波にさらわれたなんて…知る由(よし)もなかった。