第78章 過去からの来訪者
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それから2週間近く、秀吉さんの家臣の看病にあたった。
海の水を飲んで気分が悪いと言っていた人達も、日が経つにつれて元気を取り戻し、京や大阪の話をしてくれた。
時々秀吉さんと三成君の名前がでてきて、その度に胸が熱くなった。
「え、もうお帰りになるんですか?」
男1「はい、全員ほとんど良くなりましたので」
「でもまだ骨が…」
折った腕をさらしで吊っている人をチラリと見る。
男2「このくらい平気です。それに骨がくっつくのを待っていたら殿に怒られちまいます」
「太閤様はお優しい方だから、多少遅くなっても怒らないのでは?」
男3「優しいかどうか下々の俺達にはわかりませんがね、いつまでも朝日様の世話になっていられませんし」
皆の目が私のお腹に向けられた。
あと少しで臨月に入る頃で、もうお腹はパンパンだ。
でも隣町の産婆さんの所へ行く時期までまだ少しある。
「遠慮しなくても良いんですよ?急いては事を仕損じるって言うじゃないですか」
それに海を渡った先はこの人達にとって、10年後の日ノ本だ。
ちょっとした浦島太郎状態になってしまうだろう。
あれこれ仮定をたてたけど、結局この人たちがなんで時を越えたのか不明のままだ。