第77章 聖なる夜は騒がしく
(姫目線)
日は瞬く間に過ぎ、二度目の冬を迎えた。
一度目の冬とは違い、備えは万端で安心して冬を迎えられた。
草木が凍り付くようにして枯れてから久しい頃…
蘭丸「くりすます?」
「そう!西洋の行事なんだけどね、大切な人と過ごして贈り物を送ったりするんだ。
この人数だから贈り物は用意できなかったんだけど、夕飯を少し豪華にしようと思うんだ。
去年は忙しくてそれどころじゃなかったし、今年はやりたいな」
皆が出払っている昼過ぎ、私達三人は土間でクリスマスパーティーの打ち合わせをしていた。
外から雪合戦をしている龍輝と結鈴の賑やかな声が聞こえてくる。
佐助「料理はもう決めたの?」
「まだ考え中。せっかくだから献立は西洋風にしようかな」
蘭丸「西洋風って南蛮人達が食べている料理ってこと?
へえ、楽しみだな。食材集めなら任せてよ」
「ふふ、本格的な料理は作れないけど、皆がびっくりするような料理を出したいな」
現代から持ってきた調味料の中に賞味期限間近なものがある。
使ったらもう手に入らないからととっておいたけど、使わなければいけない。
手持ちの調味料をフルで使う料理を幾つか提案し、二人の意見を聞いて決めていった。
そんなささやかなたくらみは誰にも気づかれることなく当日を迎えた。