第76章 姫の好奇心(R-18)
(姫目線)
「喉が渇いた。暑い、のぼせた……眠い~~~。
お腹もすいた……」
謙信様に身体を洗われた余韻で、のぼせとは違う熱が身体に残っている。
行儀が悪いけど、取り替えられた新しい布団に寝転んだ。
ひんやりとして気持ちがいい。
「ん~~~、お布団が気持ちいい」
コロコロ転がっていると廊下から一声かけられた。
「?!」
慌てて正座した頃には謙信様が対応してくれて、二人分の食事が部屋に運ばれてきた。
「わあ、美味しそう」
お団子を食べたけど、昼食はまだだったしペコペコだった。
食事の他にお茶が入った大きな鉄瓶も運び込まれた。
「ここでお食事もできるんですね」
謙信「一応『茶屋』だからな。頼めば用意してくれる。
酒も少し用意させたが、舞は茶で良いか?」
「はい、お酒も飲みたいですが今はすごく喉が渇いているので先にお茶をいただきますね」
鉄瓶に手を伸ばした手を遮られる。
謙信「お前は座っていろ。疲れているだろう?」
大きめの鉄瓶が軽々と持ち上げられ、湯気がたつお茶が湯呑に注がれた。
「あ、ありがとうございます」
(恥ずかしい。疲れただろうなんて…)
疲れた理由が理由だから、気恥ずかしい。
謙信「淹れたてのようだ。熱いから気をつけろ」
「はい」
謙信様は自分の湯呑をとりお茶の香りを確かめて、一口飲んだ。
外で飲食する時はいつも毒見をしてくれる。
命を狙われる心配はないけど、万が一だという。
『習慣のようなものだ』と事も無げに言っていたけど、出された食事に警戒するのが習慣化しているなんてある意味凄い…。