第75章 異常(R-18)
「あ、いっちゃう!や、あ、お願い、謙信様、お願い…!」
弓なりに沿った背に暖かな体温が重なり、謙信様の頬が首の後ろに擦りつけられた。
後ろから感じる気配が何故か昏(くら)さを帯びている。
(?)
腰を抑え、突き上げてくる力強さに反して、背中に感じる重みは縋り付いているような…弱さを感じた。
「けんし、ん様…?」
謙信「っ、舞…。
お前は……っ、実の母でさえ嫌がった俺の『異常』が受け継がれることをっ、忌み嫌いはしないのか?」
突然そう問われたところで抽送は止まず、絶頂はすぐそこまで来ている。
でも問いかける声は真剣そのものだった。
(そんなこと…気にしてるの…?)
いつも堂々としていて、不安なんて微塵の欠片も持ち合わせていないような人なのに。
さっき私と交わした会話で、急に不安になってしまったのかもしれない。
もう一度愛しい人をふり仰ぐ。
息を乱しながら言葉を紡いだ。
「受け継がれて欲しいって思います。
龍輝が生まれた時…私は嬉しかったんです、よ?
っ、たとえこれから、あっ…人と違うって悩んでも、私が大好きな色だよって、んぁ…。
謙信様を綺麗だと思った私みたいに…。
私以外にも、その色が好きだって言ってくれる人が居るって、ん!!
はっ、あ!や、ぁ…………教えて、あげる、の」
思考が溶けて、うまく伝えられない。
真っ直ぐに私を見つめる色違いの瞳に、溶かされる。
後ろから覆いかぶさっている謙信様の身体が明確に熱くなった。