第72章 おまけ
「信長様……どうしましょう……」
信長「一先ず貴様は部屋に戻り、休め。
一晩考え、明日の朝いちばんで動け、いいな?」
蘭丸「舞様、頑張って☆」
「う?うん……」
とんでもないお年玉をもらってしまったとフラフラと自室に向かった。
どこをどう歩いたのかも覚えていないのに部屋に着いた。
「はぁ……すっごい、疲れた。何なの今年のお正月……」
畳の上に手をついて、大きく息を吐いた。
ふと見れば机の上に紙包み。城門で預けたものを誰かが部屋まで届けてくれたらしい。
「兼続さんが最後にくれたやつだ。
何が入ってるんだろう」
やたらと重かったんだよね、と興味津々で開けると……
「切り餅………?」
今朝春日山城で食べたお餅がたくさん入っていた。
そしてメモ書きのようなものが一枚入っていて『枕の礼だ』と綺麗な字で書かれていた。
「やだ…7個も食べたから、食いしん坊って思われたのかな」
朝食の時は『姫がそんな大口で食すな』とか言っていたのに。
思い出してクスクス笑いが出た。
ところで…
「枕の礼って……何かしたんだっけ?」
酔ってうろ覚えだった記憶。
そう言えば部屋まで送ってくれた『誰か』が低反発枕に興味津々だったから『触ってみますか』って言った気がする。
「も、もしかして兼続さんっ!?ひえ~、私ったらなんてことを」
今更思い出して恥ずかしがってもしょうがないのに、顔が熱くなった。
同乗していた馬でも素っ気なかったのに、こうしてお餅を用意して持ってきてくれていたなんて…。
すごく嬉しい。
気分を落ち着けるために着物を着がえ、早めの湯浴みに行き、ご飯を済ませた。
(この三日間大変だったけど、普段会えない人達に会えて楽しかったな)
気分が落ち着いたらそう思えてきた。