第72章 おまけ
(光秀)
部屋で舞を待っていると、来客の知らせが届いた。
自室ではなく客室で用件を聞こうとしたが、行き違いになったらしい
はぁ。あの男は黙って待っていられないものか
自室の襖に手をかけると、中から焦った舞の声が聞こえてきた
「や、これはその…っ」
政宗「いいから恥ずかしがらずに見せろよ。それが洋服ってやつなのか?
スケッチブックに描いてあったやつより随分奇抜だな」
「だ、駄目!まだ光秀さんにだって見せてないのに!」
政宗「駄目と言われると見たくなるって知ってるか?」
あの二人、何をやっている…
無言で襖を開けると真っ赤な服と、同じ色の帽子をかぶった舞と、その細腕に手を伸ばしている政宗がいた
(姫)
政宗から用件を聞いて早々に部屋から追い出した光秀さんは、無言で座布団に座っている。
なんとなくばつが悪くて、私はサンタ姿のまま正座をしている
その格好はなんだ、と聞かれ、クリスマスやサンタクロースの説明をした
浮かれていたのが恥ずかしくなってきて
ひざ丈ワンピの裾をギュッと掴んだ
あの茶色のものはなんだと聞かれ…
光秀「がとー…しょこら?」
ケーキとチョコレートの説明をして、昨日のプリンは香りを誤魔化すためのダミーだったとネタばらしした。
(光秀)
クリスマスにはケーキが定番と言い、舞は小さなケーキをおずおずと差し出した。
ケーキにのっている団子はなんだと聞いたら舞がむっとしている
どうやら外国の雪だるまは三段重ねが定番のようで、それを模して作ったらしい
目と口はゴマと海苔だろうか…。なんとも言えない顔だが愛嬌がある
食べてみてくださいと言われ、一口食べてみたが…
昨日のプリンより味がする
チョコというものは、ふんだんに使えば甘さだけでなく苦みも強くなるのか
感想をつたえると舞が目を輝かせた
味がわかってくれて嬉しいと笑う
おそらく大抵の女なら『美味しい』と言わなければ怒りだすだろうに……