第72章 おまけ
(光秀)
寒いからと早めに御殿に戻ってきた
部屋で二人ゆっくりと過ごしていたが……
おかしい
舞が作った『ちょこれーとぷりん』は昨日のうちに城へ持って行ったはず
それなのにあの甘ったるい香りがどこからともなく香ってくる
不思議に思い、手近に座っていた舞の匂いを嗅いでみれば、顔を真っ赤にして『えっち!』と謎の言葉で罵られた
昨日より濃厚に香る甘い匂い…
その匂いは薄れることなく夜まで続いた。
(姫)
よし、光秀さんが湯浴みに行った!
今のうちにセッティングしなきゃ!
『これ』をここに置いて…
蝋燭は…やめておこうかな。この時代貴重なものだし。
材料が少なかったからケーキ自体も小さいし、でもなんとか形にはなったよね
ふふ、メレンゲを焼いて作った雪だるま、可愛いなぁ
本当はサンタさんにしたかったけどこの時代だと、赤くできないし
あとは私も……
(光秀)
湯浴みに行って部屋に戻ると舞の姿がなかった
そのかわりに机の上に奇妙な泥の塊が置いてあった
なんだこれは、おそらく舞の仕業だろうが……
よく見れば泥ではなく表面は艶々と光っていて、甘い芳香を漂わせている
ずっと香っていたのはこれか
傍らに蝋燭がおかれている。何かまじないでもする気か?
(姫)
着替えに手間取っちゃった
早くしなきゃ光秀さんが湯浴みから戻ってきちゃう
あ!やだ!
プレゼントが入っている袋を忘れてきちゃった!
この格好で歩くの恥ずかしいのに
あぁ!やっぱり光秀さん、もう先に部屋に入っちゃったんだ
仕方ない、ここはもう勢いでいくしかない
思い切って部屋の戸を開け放つ
メリークリスマス!
って、えーーーーーーーーーーーーーーー!?
な、な、な、なんで!?