第62章 里山に住まう
琥珀の瞳が静かな光を湛えている。
光秀「未だ生きる目標は見つけられていないが、お前という輝きがある限り…悪くない未来がくるような気がする…」
「ん?今なんて言いました?聞き逃してしまいました」
そういうと光秀さんは首を振った。
聞き逃した言葉を教えてくれそうにない。
光秀「相変わらず舞は不思議な女だ。
周りの者を照らし、引き上げる力を持つ…」
眩しそうに目を細めて、一瞬目を閉じた。
光秀「俺にはお前が眩しすぎる」
「あ……」
回されていた腕が離れた。
光秀さんの言葉の意味を考える。
いつもストレートに言わない人だから…。
(眩しすぎて……嫌ってこと?)
悲しくなってシュンとする。
謙信様もそうだけど、なんで皆私を過大評価するんだろう?
500年後の人間だっていうだけで普通なのに。
眩しすぎるなんて、そんなことない。
光秀「眩しくてもお前がいいと言ってくれる旦那が居るだろう?幸せにしてもらえ」
「!」
(そっか、光秀さんは…)
広間での二人の秘密を、
光秀さんが櫛に込めた想いを、
(気にするなと言ってくれているんだ)
「み、つひでさん、ありがとうございます」
どうしよう、泣きそうだ。
唇をかみしめても緩んだ涙腺はどうにもならなかった。