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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第60章 姫の想い人


私を尊重してくれる言葉にびっくりした。
現代に来てくれた頃の全てを奪いつくす勢いはなくなり、懐深くそう言ってくれた。

多少悔しそうではあったけど。


「ありがとうございます。謙信様…」


果たして私が同じ状況に晒されたら、今の謙信様のように言えるだろうか…。
謙信様に擦り寄り目を閉じた。


謙信「…何を笑っている?」


いつの間にか笑みが浮かんでいたみたいだ。


「いえ、私も同じ立場になった時、なんて言うんだろうなって考えたら…やっぱり同じことを言う気がしたので笑ってしまったんです。
 謙信様の愛情が私に向けられている限り、秘密の二つや三つ、四つくらい許しちゃうなって」


途端に謙信様は顔をしかめた。


謙信「お前の愛情に寄りかかり、そのように三つも四つも秘密など持つはずがなかろう。
 だがこうして諍い、許し合える仲というのも良いものだ。
 秘密があろうと舞との仲が深まった気になる…」

「ん…」


(ほんとだ…。前よりも謙信様の気持ちを近くに感じる…)


喧嘩をしたこともなかったし、こうして本気で怒られることもなかった。

正直な意見をぶつけ、認め、許してくれて…より、謙信様が愛しいと感じた。


「謙信様、傷つけてごめんなさい。愛しています」


ギュッと抱きつくと謙信様のため息が漏れた。


謙信「お前と結鈴の『大好き』と『愛している』にはかなわん。
 愛しすぎて、何もかも許したくなる」

「…………ふふ」


顔が見えないけど、きっと眉が下がっているんだろうなと想像できた。


謙信「笑っている余裕などないぞ」

「んっ!?」


突然唇を塞がれ、目を見開く。


謙信「ふっ、また目を開けているな」

「だからっ!突然すぎるんですっ!」


静かな林に、謙信様の笑い声と私の抗議の声が響き渡り、驚いた小鳥たちが羽を羽ばたかせ、飛んでいった。


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