第59章 それぞれの道
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(第三者目線)
安土城は静まり返っていた。
信長を討ったとされる光秀は深手を負い山中で死亡。
険しい顔つきの秀吉と三成が帰城したのは本能寺の火事から半月程がたっていた。
家康と政宗は無言で2人を出迎え、事のあらましを聞き、厳しい顔をみせた。
織田勢力の有力大名が召集され、今後の方針を決めるため連日軍議が開かれた。
そんな日々が数日続き、当面の間秀吉が信長の後を継ぐことが決まった。
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家康「三成」
書庫で資料をまとめていた三成のところへ家康が訪ねてきた。
あまりない出来事に三成が笑みを浮かべ迎え入れた。
三成「これは家康様。いかがされたのですか?」
家康「急だけど駿府に帰ることにした。今後の体制を城の者達に報告する目的と、徳川家一同の意見を取りまとめに行く。
俺は秀吉さんと組んでも良いと思っているけど、下の者がどう思っているか聞いてくる」
三成の顔が曇った。
三成「それは、万が一徳川家の方々が秀吉様につくことを拒否した場合は…」
家康「さあね。それは聞いてみないことにはわからない。さっき秀吉さんにも言ってきたけど信長様と組んだ同盟を一度解消する。
あの人が死んでしまったから仕切り直しだ。家臣達の意見を取りまとめてから豊臣家と同盟を組むか組まないか決める」
三成「そう、ですか…」
家康「今後どうなるかわからないから俺の部屋と御殿も一旦引き払うことにした。
昨日のうちに荷物はまとめておいたから後日家臣に取りに来させる」
淡々と話す家康と反対に三成は歯切れ悪い返事を繰り返す。
家康はうんざりしたようにため息をついた。