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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第58章 時の神



「早速お鍋を川で洗ってきますね」


調理道具を持って外に出ようとして信玄様に止められる。


信玄「川には俺が行ってくる。
 姫は布団に日を当てておいてくれるか?人数分とはいかなかったが、子供達の分は手に入れられたんだ」


ゆるりと流した視線の先に数組の布団が置かれている。

今日は爽やかな秋晴れだ。今から干せば夜には使えるようになるだろう。

私は頷いた。


「わかりました」

信玄「頼んだよ。じゃあ行ってくる」

「よろしくお願いします」


信玄様が外に出ていくと、外で遊んでいた結鈴と龍輝が『一緒にいくー』とくっついて行った。
キャッキャと子供特有の甲高い声が遠ざかっていく。

光秀さんは荷物を全部運び入れるとため息をついた。


光秀「やれやれ、河原で怖い思いをしたというのに懲りないな。
 龍輝はお前に似て無防備なんだな。
 ……俺も行ってくる。ついでに飲み水を汲んでこよう」


そう言われて、考えなしに川に行こうとした自分を反省する。


「す、すみません。その…よろしくお願いします」


(危機管理意識を高くしないと駄目だな。何が居るかわからない所なんだもんね)


反省して小さく謝った私を、光秀さんは目を細めて見ている。


光秀「あんな思いをするのはもうご免だぞ。お前は謙信から離れるな」


頭をぽんぽんと撫でられ、涼やかな顔を見上げると落ち着きをたたえた琥珀色とぶつかる。


(あんな思い?光秀さん……あの時、どんな思いだったの?)


光秀「いってくる」

「あ、はい。お願いします」


(いつも冷静な光秀さんが少しは慌てたってことかな)


頭をなでられる感触が妙にくすぐったかった。


「さーて、頑張って干すぞっ」


私達の様子を謙信様が見ていたとは知らず、私は布団を干す作業に没頭した。



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