第1章 設定
私は橘 美鈴。父は韓国人で母は中国人と日本人の血を引く。
橘は日本に来てから母の苗字になっている。
元々は鄭 美鈴。
父が高校生の時に交通事故で亡くなり、家業を父の兄弟に任せて日本にいる母の両親の元に来た。
父は今で言うコンビニみたいな所を営んでおり、裕福な方だったと思う。
ソウル市内に店舗があり近くに私達は住んでいた。
ただ、私には父が亡くなる前後1年の記憶が抜けてしまっている。
母から聞いた話だと、近くに芸能事務所があってそこに練習生達が住んでいて、父がそこの社長の先輩で何かとうちから商品を買ってくれていた。
その当時、中学生くらいの練習生達と私はとても仲が良くて弟のように可愛がって勉強を教えたりしていたらしい。
父の仕事を手伝って事務所に行った記憶はあるが練習生達の記憶は私の中になかった。
父の事故.......一緒にいて私だけ助かったのだ。
事故現場で発見された時に、父が私を庇うように覆いかぶさっていたらしい、微かに息をしていて「娘だけでも」と伝えて息絶えた。
思い出そうとすると酷い頭痛になり、思い出せないままで今まで来ていた。
それから10年、事故のことも無理に思い出さないようにして母の故郷の日本で、過ごしている