第2章 鳥籠の鳥 ❇︎ 【煉獄】
シュッ…
俺はアドマイザーに入った香水を手首につけて、首筋にも擦り付けた。
その途端、奏の目が見開かれる。
ちゃんと覚えていたんだな。
この香りを。
「誰が奏を一番想っているかを分かってもらわないといけないな。」
嗅覚で覚えた情報は、何よりも深く印象に残るらしい。
「え…うそ…れん、ごくさ…んが…」
俺の打ち付ける腰に合わせて喘ぎながら、紅潮させた表情の中、瞳には怯えが混じっている。
「俺が?なんだ?」
「ストー…カー…だったの?」
「俺が、ストーカー?失敬だな。俺が、毎日、挟めた、のは…」
紙ではなく手紙。
君の記憶に残るようにこの香りをつけて。
君を見張っているのではなくて、
見守っていただけ。
本当は他の男が映る瞳を俺以外見れないように
飾っておきたいけれど、それは痛いのでやめてあげよう。
「いつも君を見ている…」
「愛しいのは君だけだ。」
「君の目に映るのは俺だけでいい」
奏の目から涙が溢れる。
「これは、俺の、君への…想いだ!」
「んっ、ふ、あっ…あっ…」
「君を…愛している…」
一度動きを止めて、耳元で囁くと
キュッと締まった。
「奏は…どう…なんだ?」
俺が聞くと、涙を流しながら必死に喘ぐ奏。
大丈夫。
すぐに奏の気持ちも確たるものにしてあげるさ。
「さぁ、君は、俺の…ものに、なればいい。」
「わ、私…もうっ…」
おっと、激しく動きすぎたか…。
もう少しで気をやってしまうところだったな。
動きを緩めて、ゆっくり快感をやろう。
俺ももっと味わいたい。
「奏、君は誰のものだ?」
「あ、はぁ…はぁ…あぅっ…」
もう少し。
さぁ、言ってごらん。
「わ、たしは…あっ、杏寿郎…さんの、ものっ…です。」
やっと
堕ちた。
「お利口さんだな。ちゃんと言えたご褒美に、俺との子を孕もうな。
これからは君は俺のもの。
俺以外、必要ないと分からせてあげよう。」
「…君は鳥籠の鳥だ。」
「はい。」
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好きな人がストーカー。
私を一番愛してくれる人。
私を大事に大事にしてくれる人
私は貴方の鳥籠の鳥。
ーfinー