第19章 番(つがい)
遊郭の屋根に黒ずくめの男が身を潜めている。
…と言っても、鋭い目の横にはジャラッと光る装飾品。
隠れるつもりがあるのか無いのか。
鮮やかな黄色の着物を纏った女。
木の格子から見える同じ景色にうんざりする。
いっそのこと、このまま何処かに羽ばたいてしまおうか。
この狭い世界を抜け出し、
———自由な空へ。———
そんな事を考えていると、少し離れた場所に誰かが降り立つ。
私よりも随分と大きな体。
…男だ。
しかし、こんな場所で男に会うなんて思いもしなかった。
艶やかな髪。
キリッとした目。
美丈夫な顔立ち。
そして、その顔の横で輝く派手な飾り。
一体何者なのか。
彼はじっと何かを探すかのように下界を眺めている。