第17章 レッツ ポッキー!
誰かが奏にぶつかって、バランスを崩して倒れた…。
のだが、全く痛くない。
そっと目を開けると
「大丈夫…か?」
玄弥の手が、奏の頭と腰元を押さえてくれて、床に付かずに済んでいた。
「ん…あ、ありがと…。」
助けてもらったのは本当にありがたいが、流石に照れくさい。
頬を赤らめながら玄弥に礼を言うと、
彼の顔はみるみる赤くなって…
「い…いや…!大丈夫なら…い、いいいいん…だ!!」
故障した。
「あー…2人とも…なんかごめ…」
ガラッ!!
「さぁ!!そろそろ席につくといい!!」
炭治郎が謝ろうとすると、それは歴史教師の登場で遮られる。
「………。」
「………。」
歴史教師 煉獄杏寿郎は、目の前の状況にカッと見開かれた目を更に大きくする。
「不死川弟と、西ノ宮は何をしているんだ!!」
「なっ、何も!!」
ここだけ切り取って見ていれば、玄弥に奏が押し倒されている状況。
多分、転んだところを助けてもらいました…とか言えばよかったのだろうに、咄嗟にこの状況を誤魔化す言葉しか出てこなかった。
「2人は付き合っているのか⁉︎」
「ち、違います!!」
「では、離れるといい!!感心しないな!!」
「はいぃ!!」
故障中の玄弥をなんとか呼び戻し、まだ動きがバグっているが、何とか離れてもらうことができた。
はぁ…とため息をつき、それからはいつも通り授業を受ける。
キーンコーン…
「では、ここまで!!質問のある者は明日受け付ける!」
煉獄が授業を締める。
しかし、いつもと違うのは質問の受付け。
何があろうと、授業終わり、もしくは放課後に質問を受けてくれるのだ。
なのに、明日だなんて…。
(ま、先生だって予定くらいあるよね。)
そう思いながら、帰る準備をしていると
「西ノ宮!放課後、社会準備室に来る様に!!」
まさかの呼び出しを喰らった…。