第17章 レッツ ポッキー!
「おはよ…あっ!しのぶちゃん!」
「あら、おはようございます。」
登校して昇降口に行くと、胡蝶しのぶに会った。
今日1番に会う相手がしのぶとは。
今日は良いことがありそうだ。
「しのぶちゃんは今日も美人ねー。明日も明後日も美人なんだろうなー。」
そんな当然なことを言って、上履きへと履き替える。
「まぁ、いつも沢山褒めてくれてありがとうございます。
じゃぁ、今日はこれをあげますね。」
しのぶが鞄から取り出したのは、ポッキーだった。
ペリペリと赤い箱を開けて、中の包装も開ける。
その一本をくれるのだと思っていた奏は、手を出す気満々だった。
けど
「では、どうぞ。」
「へ?」
奏の手にポッキーが渡されることはなく、視界には美人がポッキーを咥えて目を閉じている。
「し、しのぶちゃん?これは?」
戸惑いが隠しきれず、どういうことかと聞いてみると、しのぶはポッキーを一度手に戻し、首を傾げた。
「あら、ポッキーゲーム…知りません?」
「え、いや、知ってるけど。」
「では、どうぞ。」
いやいやいやいや、どうぞじゃない。
なんの褒美でこんな美人とポッキーゲームをしていいのか。
何より周りの目が痛い。
男子たちが歯軋りしながらこちらをみている。
でも、一向に止めるつもりもない様子のしのぶ。
これは…やらないと終わらないし、何よりしのぶを無碍にする訳にもいかない。
(男子諸君!すまない!苦情は後で受け付ける!)
腹を括り、生唾をごくりと飲み込む。
「し、失礼します…!」
相変わらず目を閉じ続けるしのぶの肩を掴み…
キスをするのってきっとこんな気持ちなんだろう。
いつか、しのぶちゃんの唇を奪える強者がいたら、相談乗るからね!
そう思いながら、ぐっと目を閉じて
サクッ…と一口齧る。もう一口…
と、その時
ピピーッ!!!