第16章 trick or treat ❇︎【宇髄】
「ん…あ…」
しばらく軽く触れるだけのキスを楽しんだ後、私が息を整えようとした瞬間、ヌルリと天元の舌が入り込む。
クチュっと水音が暗い部屋に響き、その音さえ官能的な刺激にしかならなかった。
「ふ…んぁ…」
「奏、やっぱお前可愛いわ。」
熱を帯びた視線を向けられれば、その先を知っている私の身体はズクンと脈を打つ。
天元は私を組み敷いていた体勢を解き、隣にゴロンと横になる。
私を後ろから抱きしめる状態になって、しばらく温もりを感じるように動かなくなった。
「ん…?どうしたの?」
私が振り返ろうとすると、しっかりと固定されていてそれは叶わない。
「どうもしない。そのまましてて。」
そう言って、黙っていると服越しに天元の手がもぞもぞと動いているのが分かった。
きっと部屋着の上下の境を探しているのかも…。
「これ…ワンピースタイプ…」
いつもなら上下のパジャマを着て寝るけれど、本当ならばしばらくリビングでゆっくり誕生日を祝うはずだった。
だから、可愛い姿でいたくてワンピースタイプの部屋着を新調していたのだ。
「…まじか。そんなんもってた?」
記憶に無い情報に戸惑っているのが分かる。
「俺のために?」
「可愛い姿でいたかったから…」
すると、天元はいきなりピッと電気のリモコンをオンにした。
「うっ、眩しっ!」
私が光に目を眩ませていると、天元は起き上がって舐めるように見つめる。
「まじか…可愛いじゃん。」
「ま、もう少し派手に攻めてくれても良かったけどな。」
ニッと口角を上げて、私の太腿あたりをサワサワと天元の手が往復する。
「ちょ、くすぐったいよ。何して…」
「お菓子もケーキもくれないって言うんだ。悪戯に決まってんだろ。」
そのまま太腿の外側から内側へと手を滑らせる。
「んん…!」
際どいところに手をやられ、私の口から甘い声が出た。
「俺の悪戯…甘くみんなよ?覚悟はできてるよな?」