第15章 猫とまたたび 【煉獄】
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「と、まぁこんなところだ。」
「俺は恋と鬼殺を両立することはできないようだ!
彼女はそれを見抜き、現(うつつ)を抜かすことなく、俺の責務を全うするようにと教えてくれたんだ!」
不思議な初恋の話をした後とは思えない
溌剌とした声で現実へと引き戻す。
「…だから俺は、それ以来恋はしないと決めている!!」
「…おい、それお前…」
「何かに取り憑かれたんじゃねぇかァ?」
「いや、違う可能性も…」
不死川と宇髄が少し青ざめながら
奏の正体を予想していると、
チリン…
鈴の音が鳴る。
煉獄以外が振り向くと、そこには煉獄が話していた通りの
美しい女性が立っていた。
「ねぇ。今の話の人って…この人?」
時透が煉獄に尋ねると、煉獄が「ん?」と振り返る。
「ははは!!時透、流石に俺にも猫と人は見分けられるぞ!」
高らかに笑う煉獄。
柱達は「は?」ともう一度女性を見る。
「ニャー…」
しかし、そこにいたのは黒に白い模様の入った猫だった。
「え…?」
動揺する柱達。
それを気にすることなく、煉獄はその猫に近づくと猫も擦り寄る。
「うむ!この猫も確かに美人だがな!!」
チリン…
その猫の首には赤い椿と鈴の飾り。
「君はもしや…」
あの恋は夢か幻か。
「素敵な初恋をありがとう。」
〜fin〜