第15章 猫とまたたび 【煉獄】
『えっ⁉︎』
驚きの声が木霊する。
驚くのも無理はない。
「初恋ならある!」
そう溌剌と言い放ったのは
鬼殺隊 炎柱 煉獄杏寿郎
煉獄家は代々炎柱を担い、誇り高き家系である。
そのため、鬼殺に対しての意識は高く、
弱き人を守るための責務として、柱に君臨している。
一に鍛錬
二に鍛錬…
女性の浮いた話など聞いたことがない。
息抜きの楽しみといえば…
花街に繰り出し、朝まで戯れを楽しむ…
はずもなく。
もっぱら美味いものを食べることが楽しみなのだ。
そんな彼が初恋は経験済みだと言うのだから
聞かないわけにはいかないだろう。
「そんなに言うなら聞かせてもらおうか。」
「うむ。…あれは、確か柱に就任する1ヶ月前ほどか。」
煉獄は懐かしむように目を細めた。