第13章 鳥籠の鳥 2 ❇︎ 【煉獄】
私が杏寿郎さんに心を囚われた日から半年が経った。
あの日から変わらず愛を表現してくれる杏寿郎さんは
少し心配症のようだ。
「君が好きな仕事を辞めさせるつもりはない。
しかし、道の途中で男に変な目を向けられていないか心配で堪らないんだ。」
私は変わらず歴史の資料館で解説委員をしている。
彼の私への執着心が強いことは知っていたから、初めは辞めさせられると思っていたけど、好きな仕事を私から取り上げるようなことはしなかった。
でも、いつもボイスレコーダーに仕事中の音声を録音して、他の男に言い寄られていないか、もしそうだとしても、きちんと断れているかを確認されている。
今のところ、問題はない。
ただ一つを除いては。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
カチッと電気を消して同じベッドに入る。
私たちは引っ越しをして学校と資料館のちょうど中間地点に同棲を始めた。
つい最近までは、ほぼ毎晩のように求め、求められ…
だったのだが…
最近は私に触れてこない。