第11章 そういうところ 【伊黒】
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「で?この可愛子ちゃんを射止めて俺らに自慢しに来たってわけか?」
奏の目の前には、あの日見かけた派手な装飾が揺れる。
「近い近い!奏に触れるなよ、ゴミ屑が。」
「うむ!実にめでたい話だな!!」
「伊黒はしつけえとこがあるからな。気をつけろォ。」
「は、はいっ」
髪色が派手な男性と、白灰の髪の毛で目付きがすごい男性と…
無口で涼しげな男性。
「冨岡…なぜ貴様もいる…?」
すごい目つきで睨む伊黒様。仲が悪いのかしら?
「伊黒様、そんな風に言わないであげて。」
奏にやんわりと止められて伊黒はふぅと息をつく。
「冨岡は奏に感謝するんだな。優しい奏に。」
「…感謝する。」
本当に礼を言われた…
「い、いえ、きっと伊黒様とお話ししたかったんだろうな、と思って。」
コクンと頷く冨岡。
「奏ちゃんだっけ?こんなネチネチしたやつでいいのか?」
宇髄に聞かれて、奏はニコッと微笑んだ。
「はいっ!」
迷いのない返事に毒気を抜かれる。
「そうかい。幸せになァ。」
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なんとなく、伊黒様のお友達にも認めてもらって
私たちの交際は順調に始まった。
伊黒様は変わらず優しく、なんでも肯定してくれる。
優しい彼が大好きだ。
でも、お付き合いするようになってわかった事。
伊黒様は基本的にお友達に対して辛辣だ。
特に冨岡様への当たりは強い。
だけど、なんだかんだ言って、手助けしたりと優しいのは隠せない。
私はそんな彼が
「私は伊黒様のそういうところも大好きですっ!」
「俺もだ。」
〜fin〜