第2章 鳥籠の鳥 ❇︎ 【煉獄】
数週間前。
『煉獄先生!
歴史の資料館って知ってますか?』
煉獄先生とは俺のこと。
名を煉獄杏寿郎。
26歳でキメツ学園の教師をしている。
担当は歴史。
職員室にきて、そう尋ねるのは竈門少年、我妻少年、嘴平少年だ。
皆個性的だが、仲が良く可愛い生徒だ。
「うむ!資料館は教師になる前はよく通っていたが、教師になってからは、なかなか時間が取れなくてな!」
資料館がどうかしたか?と尋ねると3人が表情を明るくさせた。
「資料館の方が最近うちのパン屋に来てくれるんです。
気さくなお姉さんで、お話が上手なんですけど
そのお姉さん、歴史の解説をしているそうなんです。」
ほう。
確か竈門少年の家はパン屋だったな。
そこに解説員が買いに来ると。
つまり彼らは、その解説員のお姉さんとやらに会いたいというわけか。
「んー。そうだな…。
課外授業というのも悪く無いな。
よし、学園長に許可を貰ったら尋ねるとするか!」
「やったー!」
と、まだ決まってもいない課外授業に胸を躍らせる3人。
我妻少年は「美人なお姉さんー♪」と、目的が違うようだが。
たまには他者からの話を聞くのも良いかもしれない。
それに、自分にも刺激になるだろう!
そして、俺は学園長に許可をもらいに向かった。
「うん、良いんじゃないかな。
あそこは優秀な解説員がいるんだよ。
まだ若いみたいなんだけど、とても分かりやすいらしい。
煉獄先生の授業も好評だけど、
他の解説を聞くのも勉強になるだろうね。」
「はい!久しぶりに資料館に行くので、生徒と一緒に学びたいと思います!」
無事に許可が取れたところで、
資料館に電話をして、伺っても大丈夫か確認しなくては。
早速ネットで資料館のサイトにアクセスする。
電話番号は…と。
学園の電話の受話器を取り、サイトにある番号に電話をかける。
トゥルルルル…
何度か呼び出したが、出ないようなので受話器を置こうと耳を離した時
ガチャ
「お電話ありがとうございます…」
若い女性の声がした。