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あなたの…【鬼滅の刃】 短〜中編

第7章 初恋  【悲鳴嶼】


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彼がこの店に来たのは5年前。

あれから随分と月日が流れた。
私は21。彼は22。


最初は私の知っている行冥くんとは思わなかった。

屈強な身体。
あの時見せていた笑顔はなく、威厳漂い涙を流していた。
ここは鬼殺隊の本拠地からすぐ近くの食事処。
だから、背中に『滅』と記された服を着た人がよく訪れる。
父の話によると、行冥くんはその鬼殺隊最強の剣士となったみたい。

昔の彼からは想像できないな。




この間に彼の人生に何が起きたのかは分からないが、私が彼を一時も忘れたことはない。
あの日別れた時に気づいた恋心をずっと抱えて過ごしてきた。


そして、彼がここを訪れた日は8月23日。
私がここで作らせてもらう唯一の料理。
炊き込みご飯を彼に出した。
一瞬驚いていたけれど、

「ありがとう」

とゆっくり言ってくれた。
その時、彼の優しい人柄は変わらないんだと嬉しくなった。



私は掌に
「たくさんたべてね。」
と書いた。

それから8月23日には必ず来てくれるようになった。


そして、今年も。
想いを伝えようとも、どうなろうとも思っていない。
いつもここに無事に来てくれる事を祈って。




ね、行冥くん。

私の心にはまだあなたがいるの。
同じだったら嬉しいな。





私と、あなたの初恋。










〜fin〜
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