第65章 家系
前提として、私の親友は嘘つきだ。
「…じゃあ」
「……何ですか。私にそういう挨拶求めてるならお門違いです」
先程、上がある決定をしたことを聞かされた。
五条達のこともそうだけれど、この学長も、指名手配されたのだとか。
あっちが必死になって探すのならば、この場所なんてあっという間にみつかり、騒ぎになり、ここにいる人は皆死ぬだろう。
そして、ここに連れてこられ、助けられるはずだった人も、虚しく…。
(…企み?んなの、あるかっつーの)
ここを去る学長の顔はいつも通り険しかったけれど、どこか諦めているような気配を感じた。
私の勘が外れることを願っているが……もう二度と、あの人はここに戻ってこないという、嫌な予感がしている。
だからといって、後を追いかけるのは私の仕事ではない。
仮に、ここに千夏がいたら、どうするだろうか。
……まぁ、こんなことを考えるのは愚かだけれど。
(あんたの思考はいつだって真っ直ぐで、キラキラ輝いていて…)
そう、吐き気を覚えるほどに。
”お前が泣いてるからだろ!!!”
「……はぁ」
もう一本、吸おうか。
また昔のことを思い出してしまう。
この苦味は私の人生を表していた。
蝕まれるのは、私の心。
いつだって選ぶのは楽な道。
”しょーーこー”
わざわざ、必要も無いのに苦しむあの子とは大違い。
「家入さん、第2班戻りました」
「…はい、そっち。ベットはできるだけ節約して下さい」
「はいっ」
でも、そんな生き方が羨ましかった。
私も千夏のように険しい道を選んでいたら、
(ちょ…!まじ笑わせんなって!)
素直に笑えて
(はぁ!?なんで硝子が下手に出てんだよ!)
友達のために真剣に憤怒し
(…泣いてないし)
綺麗な涙を流せただろうか。