第63章 望まれた暁には死を
私は大いに真剣に悩んでいた。
なのに、千春はそれを一蹴する。
『今更何を。今まで誰のために戦ってたんだ』
「それは呪いの被害を受ける人を…」
『違うだろ』
千春は私の頬を引っ張った。
「ひへへ…」
『口に出すんだ。八乙女千夏は、誰のために、今まで戦ってた?どうして、苦しみながらも術師として生きている?』
千春といい、悟といい、口に出すことがそんなに大事だろうか。
「…誰にも死んで欲しくないから」
『それで?』
「…悟から最強をなくしたい」
『そう。それだろ?千夏はその為だけに動けばいいんだ』
戦った結果得られる安心という副産物は、ただのついで。
「いいの?」
『もちろん。なぁ、”七海ちゃん”?』
煽るように話を振ると、七海ちゃんは静かに頷いた。
『ほらな?きっと、学長もそう思って千夏を動かしたんだ』
「…うん」
『そんな顔するな。色々と状況が変わって……大事な人が消える恐怖を味わって疲れたんだろ。少し何も考えずぼぉっとしてなさい』
疲れてるの、かな。
悟が消えて、感情が荒ぶったのは事実。
でも、今はあの時ほど辛くない。
感情がエラーを起こしているの?
ぼぉっとするのなら、そのまま寝てしまいたい気分。
目が覚めたらこんな事態、すっきり解決している…とか。
そんな夢を妄想してる。
「……この真下で、伊地知が倒れていました」
『ああ。千夏の親友が治してたな。良かったな』
「…」
『なんだ。普通の、一般人だったら死んでただろ?』
千春の容赦ない冷たい返答を見て、七海ちゃんは何て思っただろう。
簡単に受け流せるのだろうか。
「…千夏さん、ストップです」
すぅ…っと休む体制に入っていたけれど、慌てて起きる。
「下」