第63章 望まれた暁には死を
「……珍しい客だな」
想像していたよりも何十倍も渋くて重い声。
理由ら分からないが、私は耐えられなくて、1歩後ろへ下がった。
「……客だと思ってるならもてなしたら?」
「……ああ」
心臓がものすごい音を立てている。
まるで危険信号のよう。
全身がこの場所から去りたいと叫んでいた。
「『ああ』って…。久しぶりに会って、それだけ?」
「……見て分かるだろ。話すのも辛いんだ」
呪力による威圧感が人並みでは無い。
とても死にかけの人間のものとは思えなかった。
「千春、ちょっと…」
『うん』
「…怖いかも」
『私がいるよ』
「…離れちゃやだよ」
『もちろん』
「千夏ちゃん、おいで」
ママはすっごくニコニコしていた。
不気味だったけれど、本当に綺麗な人だと思った。
ドクン
ドクン
ドクン
「失礼、します」
ドクン
「…」
「……ふっ………それを見せるために来たのか」
「そうだよ」
紫色の斑点がある皮膚。
悟と同じ白髪。
年によるものなのかは、暗くて判別できなかった。
「…何。用もなく来たと思ってたの?」
「…」
「ねぇ、どんな気分?」
「…」
「あんたが私を裏切った後…!」
「言うな」
「はぁ!?そっちが…!」
「分かってる」
ママとパパの温度差は明らかで。
けれど、その中でもパパの鋭い視線は私に向いていた。
「初めまして」
「は、初めまして…」
「この女からどこまで聞いたんだ?」
「ちょっと、私の話を…!」
まさか、普通に話しかけられるとは思ってなかった。
せめて、せめて…。
「パパは……私のことを殺そうとしてたでしょ?」
謝りなさいよ。