第62章 私がそう言った
初めて千夏に会った時、絶対にこの子を守らないといけないと思った。
不思議な使命感に駆られたのを今でも覚えている。
”…?……キャキャッ”
”あらぁ。千春のこと見て笑ってるよ〜!可愛いねぇ”
しーさんの笑顔になんて反応したんだっけ。
それは覚えていない。
どんなに泣いていても、私達が頑張れば泣き止んでくれる。
本当に愛おしかった。
牛乳をこぼしたって、好き嫌いをしたって、ティッシュ箱を遊びで空にしたって。
こんなにも可愛いのだからいいじゃないか、と。
しーさんはいつも笑っていた。
一時、施設に預けられた時も、千夏は周りに文句を言うことがなかった。
からかわれても特に反応せず、大人しく時の流れに従っていた。
部屋の隅で本を読むふりをしながら、その影で私が盗んできたお菓子を食べていたのは、私達だけの秘密。
そう。
私達はいつも一緒だった。
”このはでちょいとかーくーせ♪”
楽しい時も
”もぉやだぁぁ、がっこういやぁ!”
辛い時も
”うあああ!千春の意地悪!!”
時には小さな喧嘩だって。
千夏の幸せのためなら、姉でも親でも鬼にでもなる。
そのために私はこの姿になってでも、千夏のそばに居続けた。
それはいつだって。
いつまでも。
”うわぁ…!”
一目見て、分かった。
気づいた時からそこにあった記憶が、私に言う。
世界を変えてしまった人間。
互いがいかに交わりをもってはいけないか。
その全てを。
あのガキが現れることを知っていたら、私はこの出会いを……恨んでも恨みきれないこの出会いを
”あの子、おめめキラキラだった!”
滅せたのだろうか。