第59章 綺麗事
19:00
東急百貨店、東横百貨店を中心に半径およそ400mの”帳”が降ろされる
「帳?」
「…」
乱入してきた男は、ペラペラとことの詳細を続けて話す。
私でも「不測な事態」が起こっていることが分かるので、皆黙ってその男の報告を聞いていた。
「…」
予想される未来が輝かしくないために、思わず体がすくんでしまう。
「…そして、皆して言うんです」
────五条悟を連れてこい────
「と」
「「!」」
悟を...連れてこい、だって?
「…その帳は壊せない感じ?」
「帳は一般人に関して働き、呪術師を拒む様子はありません。まだ調査途中ですが、難しいかと」
「だよねぇ…」
相変わらず、彼の状況把握能力には驚いてしまう。
「どうしますか」
「とりあえず、追加の情報を待つ。その間にお前は現場に向かえ。早い内に合図する」
「了解しました〜」
私はやっと、渋谷あたりが大変なことになっているということを受け入れられたのに。
「おーい」
「わっ...」
瞬間的に移動した悟は、急に顔を寄せてきた。
「千夏も行くよ」
「し、渋谷?」
「そう」
そして、野次を飛ばすご老体。
「ダメだ。お前は他の1級と同じように待機隊として派遣する」
「他の1級…」
冥冥さんとか?
七海ちゃんとか?
学長とか?
「ううん。千夏は僕が連れていきますよ〜」
「なっ…!」
他にもいたよなぁ、なんて考えていたら、いつの間にか悟に担がれていた。
「帳の中は電波遮蔽されてるみたいなので、1人で行動するより誰かといた方がいいと思いまして」
「だが、その女は…!」
「ええ。僕が最も信用している術師ですよ?」
悟はそのまま歩きだす。
私の意見も聞かず、おじいちゃん達の話も無視して。
「強さも。そして…人間としても、ね」