第59章 綺麗事
(……どこだ、ここ)
初めて悟以外の異性に自分の裸を見せたのは、交流会の翌日だった。
(……ああ、そっか。七海ちゃんはどこ……)
布団から足を出そうとして気がついた。
今の自分は、Tシャツをみにつけただけのすっぽんぽんだということに。
(…)
思い出す昨晩の惨劇。
あまりにも強引で不埒だったと反省している。
まして、七海ちゃんを巻き込もうとするなんて、人間として、先輩として最低だ。
サッとパンツを探して身につける。
勝手に冷蔵庫の中を覗き朝ごはんでも作ろうと思ったけれど、扉を開けための前に昨日の開封済みの薬が堂々と置かれていた。
(ぐちゃぐちゃ…)
頭も心も体もぐちゃぐちゃ。
体はありえないくらい痛いし。
何も整理出来ていない。
(……七海ちゃん)
七海ちゃんを求めてソファーに近づく。
すやすやと寝息を立てるその横にはビールの空き缶。
1人で飲んだのだろうか。
「七海ちゃん、起きて」
少し揺するだけでパッと目を覚ました七海ちゃんは、数秒静止し、すぐに顔に手を置いて体を起こした。
「下を履いてください」
「あ…。でも、もう良くない?」
「履いてください、今すぐに」
上のTシャツは七海ちゃんのだから、太ももの半分くらいは隠れている。
昨日履いていたズボンはどこだ?
「……気分はどうですか」
「まあまあ。昨日はごめんね。色々乱れてたと思うのに、ベットで寝かせてくれてありがとう」
「…いえ」
ズボン、ズボン、と呟きながら部屋を徘徊する。
その間に、七海ちゃんは大きなため息を3回も吐いた。
「履きましたか」
「履いた!」
やっぱり情緒がおかしい。
誰かに甘えたくて仕方無くなっている。
「朝ごはん作っていい?」
「いえ、私が作ります。また薬を盛られたら大変なので」
昨日の件が随分七海ちゃんの機嫌を損ねさせているようで、朝から素っ気ない。
……もしかしていつも通り?