第58章 特別編①
けれど、満たされたのは序盤だけ。
「……その山は何?」
ポテトサラダも作ろうと思ってじゃがいもを選別していたのに。
静かだと思ったら…。
「いっぱい美味しそうなのあったよ〜」
「戻してきなさい」
「なんか、自分で作る知育菓子もいっぱい…」
「そんなに要らない。戻してこい」
お前は子供かっ。
数個なら許したけど、山盛りになるほど持ってこられたら流石に怒る。
「ねぇ、ちな」
「何」
つぎはなんだ、と思って少しきつい一言になってしまった。
「…ティッシュなかったよなぁーって」
「ああ、そういや…」
ほっとしたような顔でカゴに5個入りの箱ティッシュを入れようとした悟……を直前で止める。
「待って。ティッシュはここより薬局の方が安いから…」
「別にいいよ。10円くらいじゃないの?」
「違うよ!30円は安いもん」
「なんだ30円…」
「は?」
「なんだ」とは、なんだ!
30円も安いんだぞ!?
30円の重み知らないのか!?……って、知らなそう。
「お金足りなかったら言ってよ。10万くらいいれようか?」
私たちは自分たちの給料から毎月定額「共同財布」にいれることにしている。
生活する上で必要なものはその財布を使うのだが…。
「お金は十分です。節約が癖になってるだけです」
お金が足りないから30円のために動いているわけではない。
もはや、これは癖。
でも、お金は使わないに越したことはないと思っているため、直すなんて考えたこともない。
「いいよ、今日はここで買おう」
「え、やだ。高いじゃん」
「2回も会計するなんて、面倒じゃん」
「……分かったよ」
喧嘩になりそうな雰囲気を察知した私がこの場を譲る。
こんな所でみっともないことはしたくない。
「千夏って意外とケチだよね〜」
……こんなことを言われてもスルー。
こういう部分を指摘するのは、とうの昔に諦めている。
これに関しては多少自覚もあるしね(だからといって腹が立たない訳では無い)。