第58章 特別編①
「ねぇ〜、まぁだ?」
「まーだー」
お風呂に入ってパックを終えた私は、猛烈に暇に耐えていた。
正反対に、悟は忙しそうにパソコンに向かって何かを確認し、時折文字を打っていた。
「今じゃなきゃダメなの?」
「んー」
「さーとーるー」
「はいはい、ちょっと待っててね〜」
後ろから抱きついてみても、軽く流される。
私とイチャイチャすることより大事なことってある!?(←山ほどあります)
「つまんなーい」
「ゲームでもしてなよ」
「やだ。悟とイチャイチャしたい」
「後でね」
この家で暮らして早1ヶ月。
お互い鬼のように予定を詰められ、本当に1ヶ月経ったのか疑問に思うほど、時間の進みが早い。
先日たまたま休みが合って買い物に出かけたときに買ってくれた、ふわふわのパジャマ。
お揃いのマグカップで飲むコーヒー牛乳。
もう寝る準備はできている。
これ以上ないコンディションなのに、悟の仕事のせいで…!
と、まぁ、悟を責めるのはお門違い。
ぴとっと体を寄せて、構ってもらえるときを待つ。
チクタクチクタク、カチカチカチカチ、と。
時計の音とタイプ音だけが、時の流れを教えてくれる。
「千夏ー」
返事の代わりに、すーすーと言う寝息。
(寝てる、か)
これだけ待たせたら、普通に寝るか。
久しぶりの休みだったし、疲れてただろうし。
カチッとEnterキーを押して、背中に感じる千夏の重みを受ける。
よく考えたら、僕動けなくない?
……とりあえず、仕事を終わらせよう。
来年度の入学生徒の手続きをしなければならない時期。
全く、こんなことまで僕がやらないといけないなんて、教師というものは大変だ。