第54章 曇
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「まぁ、結局押さえつけられちゃって…。そのまま悟と反省部屋行き。2日間閉じ込められた」
これ以降の話をすると一日はかかってしまう。
キリがいいからここでおしまい。
「退屈しない人生っしょ。羨ましい?」
「羨ましくないですけど、確かに退屈しなさそうですね」
「でしょでしょ?」
棘も何か言っていたけれど、翻訳できないので割愛。
何でみんなは分かるんだろう。
「それよりさー、棘。狗巻家の家系図とか持ってない?見たいんだけど」
「ツナマヨ」
即座に真希の顔を見る。
「なんで、って聞いてます」
「ああ。呪言を扱う家系っていったら狗巻家でしょ?その中に突然死とか、原因不明で亡くなった人がいるかどうか知りたいの」
「ツナマヨ」
再び、真希の顔を…。
「それはなんでか、って…」
別に隠す必要は無い。
私はニヤリと笑って言った。
「んーと。私が呪言師になれた理由、知りたくない?」
2人はちらりと視線を交換して、同時に口を開く。
「しゃけ」「知りたいです…けど」
と、そういったふたりはどこか控えめで。
どうしたの?と聞けば、真希が躊躇いがちに私の体調を心配した。
「別に普通…」
「でも、震えて…」
「え?」
慌てて自分の手を見る。
すると、大袈裟だと思われるくらいに震えていて、自分の体が壊れた機械のように感じた。
「だ、大丈夫!普通に…なんか、体がおかしくなっちゃったみたいだねー」
「…千夏さん」
「そんな顔しないでよ〜、大丈夫だってば!」
「高菜」
顔色に関してはメイクでごまかせるけど、震えはどうしても隠せない。
やっぱり、薬に頼らないとダメなのだろうか…。
『薬は使い方で毒になるんだからね』
毒。
毒でも…みんなに心配をかけなければ、それも救いなのでは?
この考えに完全に振り切ってしまったら…。
何もかも、全て終わってしまう。