第54章 曇
「さーて、お集まりのみなさーん!」
大人になった今でも、あの状況はとてつもなく異常であったと感じている。
「これから俺たちは暴れるので、煮るなり焼くなり好きにしてくださーい」
日本にいる名のある全ての術師が集まっているようで、私達はその中心にぽつんと立っていた。
「ご、五条くん…」
メガホンを口から外した彼はニッと笑って
「楽しんだもん勝ちだよ。千夏の得意分野じゃん」
私の背中を叩いた。
「千春がいるから、千夏は怪我しないよ」
「私が大丈夫でも五条くんが…」
「大丈夫だって。誰も俺に攻撃なんてできないから」
昨日もそう言っていた。
一段落したら話をすると言われたけど、不安で仕方ない。
それに千春だって。
千春のことを信用していないわけじゃないけど、千春だってバコンボコンされたら怪我をするかもしれない。
「…2人までいなくなったら、嫌だよ」
「居なくならないから……っと、来た来た」
半径20メートルの範囲に、彼は何かを仕掛けたようだけど、それは簡単に突破されたようで。
けれど、それは想定内のように笑って、次の動きを見せた。
「千春〜、頼んだよ」
「え?」
『…お前のためにやるわけじゃないからな』
次の瞬間。
チッ………ドォン!
私たちを中心にした半径10メートル程の円が、深い地面の亀裂を線として描かれる。
煙が凄くて、熱もすごい。
私が小さく咳き込むと、千春はすぐに私の壁となってくれた。
「わぁお。流石、最強の怨霊」
『黙れ』
「目的一緒なんだから、楽しくやろーよ」
煙の中から男女問わず大人が数人やってきたけれど、五条くんは楽しそうに笑うだけ。
ひー!とか、きゃっ、とか。
私は五条くんの陰に隠れたり、その場に蹲ったりと、ひとり忙しそうに動いていた。
実際に暴れる2人は余裕そうなのに……おかしな話だ。